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「歯医者さんで治療を受けるとき、歯科衛生士さんに麻酔を打たれた気がするけれど、これって違法じゃないの?」
「歯科衛生士の資格を持っているけれど、勤務先で麻酔を頼まれて不安…」
歯科医院で行われる「麻酔」は、注射針を使用する立派な医療行為です。
「歯科医師しかできないのでは?」と思われがちですが、
実は特定の条件を満たしていれば、歯科衛生士が麻酔を行うことは法律上認められています。
今回は、「歯科衛生士の麻酔行為」に関する法的な根拠、できる麻酔・できない麻酔の種類など、
院長の立場として説明したいと思います。
目次
結論から申し上げますと、歯科衛生士が患者様に麻酔(局所麻酔)を行うことは、法律で認められています。
かつては「歯科衛生士が麻酔注射をするのは違法では?」と議論された時代もありましたが、
厚生労働省の見解や法改正を経て、現在は明確に「条件付きで可能」とされています。

法的根拠:厚生労働省の見解
歯科衛生士法第2条第1項において、
歯科衛生士の三大業務は「歯科予防処置」「歯科診療の補助」「歯科保健指導」と定められています。
麻酔行為はこの中の「歯科診療の補助」に該当します。
平成27年(2015年)の行政解釈や、その後の法的な運用の見直しにより、
以下の条件をすべて満たしている場合に限り、歯科衛生士による局所麻酔(浸潤麻酔)は違法ではないとされています。
つまり、歯科医師のチェックなしに歯科衛生士が独断で麻酔をすることは絶対に許されませんが、
「歯科医師の指示と管理のもと、診療の補助として行う」のであれば、完全に合法なのです。
「麻酔」と言っても、表面麻酔から全身麻酔までさまざまな種類があります。
歯科衛生士が担当できる範囲は、法律や安全面から厳しく限定されています。
| 麻酔の種類 | 歯科衛生士による施術 | 特徴と役割 |
| 表面麻酔 | 〇 可能 | 歯茎の表面に薬剤を塗り、注射のチクッとした痛みを和らげる麻酔。 |
| 浸潤麻酔(局所麻酔) | 〇 可能(条件付き) | 治療する歯の周辺の歯茎に注射をし、一時的に神経を麻痺させる麻酔。 |
| 伝達麻酔 | × 不可 | 下顎の奥歯など、麻酔が効きにくい部位の太い神経の近くに打つ麻酔。 |
| 静脈内鎮静法・全身麻酔 | × 不可 | 点滴から薬剤を入れ、うとうとした状態や眠った状態にする麻酔。 |
① 表面麻酔(〇 可能)
歯茎の表面にジェルやスプレーの麻酔薬を塗布する方法です。
麻酔の注射針が刺さるときの「チクッ」という痛みを軽減するために行われます。
針を使用せず、副作用のリスクも極めて低いため、歯科衛生士が日常的に行う一般的な処置です。

② 浸潤麻酔(〇 条件付きで可能)
一般的に「歯医者さんの麻酔」と言われて思い浮かべる、注射器を使った麻酔です。
虫歯治療や歯周病の外科手術(スケーリング・ルートプレーニングなど)の前に行われます。
前述の通り、「歯科医師の指示・監視下」であれば、歯科衛生士が注射を打つことが可能です。
③ 伝達麻酔(× 不可)
お口の奥にある太い神経の近くに麻酔液を注入し、広い範囲を麻痺させる方法です。
解剖学的な深い知識と高度な技術を要し、万が一、太い血管や神経を傷つけた際のリスクが高いため、
歯科衛生士が行うことはできません。必ず歯科医師が行います。
④ 静脈内鎮静法・全身麻酔(× 不可)
点滴を使って麻酔薬を注入し、リラックスした状態や完全に眠った状態を作り出す麻酔です。
これらは歯科医師(または歯科麻酔医)のみが行う医療行為であり、
歯科衛生士はバイタルサイン(血圧や脈拍)のモニター監視などのサポートに回ります。
「法律でOKだとしても、やっぱり歯医者さんに打ってもらったほうが安心な気がする…」
と思われる患者様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯科衛生士が麻酔を担当することには、治療の質を向上させるための大きなメリットがあるのです。
メリット①:患者様の待ち時間が減り、スムーズな治療が受けられる
歯科医院では、一人の歯科医師が複数のチェアを行き来して治療を行うことが少なくありません。
歯科医師がすべての麻酔注射を行っていると、麻酔が効くまで待つ時間や次のステップに移るまでのタイムロスが発生し、
患者様の拘束時間が長くなってしまいます。
歯科医師の指示のもと、歯科衛生士が計画的に麻酔を済ませておくことで、
全体の治療が非常にスムーズ進行し、患者様の負担(院内での滞在時間)を減らすことができます。
メリット②:丁寧な歯周病治療(SRP)を痛みを抑えて行える
重度の歯周病治療では、歯茎の奥深く(歯根の表面)にこびりついた歯石を器具で削り取る
「ルートプレーニング(SRP)」という処置を行います。
この処置は痛みを伴うことが多いため、麻酔が欠かせません。
歯科衛生士が自分で麻酔を行えることで、
「ここの深いポケットを掃除するから、少しだけ麻酔を足そう」といった判断が、
歯科医師をわざわざ呼ぶことなく、タイムリーかつ丁寧に行えます。
結果として、痛みを極限まで抑えた質の高いメンテナンスが可能になります。
Q1. 歯科衛生士の注射って、痛くないの?
A.実は、歯科衛生士の方が「痛くない麻酔」が得意なことも多いです。
痛みの少ない麻酔のコツは、「表面麻酔をしっかり効かせること」「細い針を使うこと」「体温と同等に温めた麻酔液を、
時間をかけてゆっくり注入すること」です。
歯科衛生士は、患者様のお顔の表情や呼吸の乱れに非常に敏感です。
優しく声をかけながら、ゆっくりと時間をかけて麻酔液を注入するため、
「先生の注射より痛くなかった!」と言っていただけることも珍しくありません。
Q2. もし麻酔のあとに気分が悪くなったらどうするの?
A.院内に必ず歯科医師が常駐しており、緊急対応の体制を整えています。
麻酔の刺激や緊張から、血圧が下がってクラクラしてしまう「脳貧血(血管迷走神経反射)」などが起きる場合があります。
当院では、歯科衛生士が麻酔を行う際も、必ずすぐ近くに歯科医師が待機しています。
万が一、患者様の体調に異変が生じた場合は、即座に歯科医師が治療を引き継ぎ、
適切な救急処置を行いますのでご安心ください。
当院では、法律で認められているからといって、すべての歯科衛生士にすぐに麻酔を任せるようなことは絶対にいたしません。
患者様の安全を第一に考え、以下の取り組みを徹底しています。
座学による解剖学の復習だけでなく、模型やスタッフ間での相互練習を経て、
院長の厳しいスキルチェックをクリアした歯科衛生士のみが麻酔処置を担当します。
麻酔を行う前には、必ず当日の体調、高血圧や心臓疾患などの既往歴、過去の麻酔でのトラブルの有無を再確認させています。
人の手による圧力のムラをなくし、痛みを最小限に抑えるため、
コンピューター制御で麻酔液を一定の速度で注入できる「電動麻酔器」を採用しています。
歯科衛生士による麻酔行為は、「患者様の痛みを和らげ、よりスムーズで精密な治療を提供する」ための正当な医療補助行為です。
歯科医師と歯科衛生士がそれぞれの強みを活かし、強固な連携(チーム医療)を取ることで、歯科医院全体の安全性と治療のクオリティは格段に向上します。
当院では、患者様がリラックスして、心から納得できる治療を受けられる環境づくりを大切にしています。
麻酔は、原則歯科医師によって行うこととしていますが、前述のような場合によっては歯科衛生士に行わせています。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください
医療法人社団天白会
キャナルコート歯科クリニック
院長 大倉康平

医療法人社団天白会
理事長 歯学博士 山田健太郎
日本口腔インプラント学会専門医

キャナルコート歯科クリニック
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